高市内閣総理大臣の国連演説要約2026/09/23

要約
本動画は、2026年9月23日の第81回国連総会一般討論演説における高市内閣総理大臣の演説内容です。日本加盟70周年という節目の年に際し、揺らぐ国際秩序と国連の機能不全に対して「今こそ強固で実効的な国連への改革が必要である」と強調。法の支配に基づく国際秩序の維持や、エネルギー・サプライチェーンの強化(「Power ASIA」「Power GX」など)、安全保障理事会改革および旧敵国条項の削除を強く訴えています。
演説の主なポイント
1. 国際情勢への認識と「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の進化
- 法に基づく秩序の危機 [00:20]:パワバランスの変化や地政学的対立により、世界の平和と安定が脅かされている現状を指摘。
- 中東情勢と海洋秩序 [02:10]:ホルムズ海峡等における航行の自由と安全確保の重要性、食料・エネルギー危機への懸念を言及。
- 進化させたFOIPの提唱 [04:03]:経済・社会・安全保障の全面で自立性と強靱性を備えるため、以下の3つの柱を表明。
2. グローバルな課題への貢献
- ODA・防災協力 [12:02]:累計6,700億ドル超のODA実績とアフリカ(TICAD)や太平洋島嶼国との連携強化。内閣改造による「国際防災協力担当大臣」の新設 [14:12]。
- 気候変動と経済成長の両立 [14:52]:2050年ネットゼロに向けた「Power GX」やAZECを通じた脱炭素化の支援。2027年国際園芸博覧会(横浜)のPR。
- AIのガバナンスと国際規範 [16:12]:広島AIプロセスを踏まえた安全で信頼できるAIエコシステムの構築と、AIサミットの日本開催構想。
3. 国連改革と日本の決意
- 旧敵国条項の削除要求 [18:36]:加盟70年間の国際貢献と誇りにかけ、2005年の総会決議に基づき、国連検証からの旧敵国条項の早期削除を強力にアピール。
- 安保理(安全保障理事会)改革 [19:16]:1945年当時の構造のまま機能不全に陥っている安保理に対し、常任・非常任理事国の双方の拡大による改革を提示。
- 配信元: 首相官邸公式チャンネル
- 動画リンク: https://www.youtube.com/live/L1KTXa3EWZk
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高市総理が国連演説で触れた「Power ASIA」や「Power GX」といったエネルギー・サプライチェーン構想の詳細を教えてください。
要約
演説で語られた「Power ASIA」と「Power GX」は、高市内閣が推進する日本の経済・エネルギー安全保障政策の核となる二大戦略です。中東情勢の緊迫化に伴うホルムズ海峡のリスクやサプライチェーンの断絶に対応し、脱炭素化(GX)と自給率強化、そしてアジア地域での安定的な供給基盤の構築を一体で目指す取り組みです。
1. Power ASIA(パワー・アジア)
正式名称は「アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ(POWERR Asia)」。日本の自由で開かれたインド太平洋(FOIP)戦略の柱として、アジア地域全体のエネルギーと資源サプライチェーンの強靱化を目指す国際協力枠組みです。
- 背景:ホルムズ海峡などを通過する原油の約9割がアジア向けであり、中東依存度の高い日本やASEAN各国の共通課題に対処するために創設。
- 主な取り組み:
- 緊急時対応と備蓄の共同化:石油備蓄システムの構築・相互融通(SWAP)の仕組みや融資・保証支援体制(約1.5兆円/100億ドル規模)の創設。
- 重要鉱物サプライチェーン(RISE / RISE+):採掘・精錬国(グローバルサウス)の能力向上支援とインフラ整備支援(世界銀行と連携した「RISE+」に2,000万ドルを拠出)。
- AZEC(アジア・ゼロエミッション共同体)の進化:省エネ・脱炭素技術の移転を進めつつ、サプライチェーンの途絶リスクにも耐えられる産業構造へ転換(AZEC 2.0)。
2. Power GX(パワー・GX)
日本の国内エネルギー構造を抜本的に強化し、「エネルギー安全保障」と「脱炭素化・経済成長」を同時に達成するための国家戦略です。AIデータセンターや半導体工場の急増に伴う電力需要の拡大(AX:AIトランスフォーメーション)に対応する基盤としても位置づけられています。
- 主な取り組み:
- 調達リスクの低減と化石燃料の脱中東・多角化:輸入ルートの平準化支援、非ホルムズ経路(代替パイプライン等)への投資や保険キャパシティの確保。
- エネルギー自給率向上と脱炭素電源の推進:
- 原子力発電の最大限活用:次世代革新炉(SMR・小型モジュール炉など)の実装加速、規制・バックエンド(最終処分等)対策の強化。
- 再エネ・新技術の普及:ペロブスカイト太陽電池や洋上風力の大量導入、グリーンスチール(脱炭素製鉄)、省エネ型データセンターの推進。
- 産業構造の強化:エネルギー消費構造の効率化と自給基盤の確立を通じ、有事に強い産業競争力を構築。
どちらの構想も、単なる「環境対策の脱炭素」にとどまらず、地政学リスクや経済安全保障を考慮した強力なエネルギー安定供給体制の構築を目指している点が大きな特徴です。
高市総理が言及した重要鉱物サプライチェーンの強靱化構想「RISE」および「RISE+」の具体的な内容について詳しく教えてください。
要約
「RISE」および「RISE+」は、EVや精密機器・防衛産業に不可欠なレアアースなどの重要鉱物について、特定の国(中国など)への極端な供給依存を解消し、国際的なサプライチェーンを分散・強靱化するための国際協力イニシアティブです。
G7議長国を務めた日本が世界銀行(WB)と提唱・主導してきた枠組みであり、単に鉱物を買いたたくのではなく、資源産出国(途上国)側にも経済的メリット(現地加工や雇用創出)をもたらす「双方向の提携」を特徴としています。
1. RISEパートナーシップ(Resilient and Inclusive Supply-chain Enhancement)
日本が2023年のG7広島サミット(および財務大臣・中央銀行総裁会議)を機に、世界銀行グループとともに立ち上げた枠組みです。
- 目的:クリーンエネルギーやハイテク産業に不可欠な重要鉱物の供給網について、特定の地域や国への偏在を解消し、強靱(Resilient)かつ包括的(Inclusive)な体制を構築すること。
- 主な仕組み・支援内容:
- 途上国のバリューチェーン格上げ:採掘(原料輸出)にとどまらず、現地での精錬・加工技術の供与や能力向上(キャパシティ・ビルディング)を支援。資源国が自国で高い付加価値を生み出せるよう連携(ロードマップ策定など)します。
- ESG・環境基準の遵守:人権配慮、労働基準、環境保全をクリアした「責任ある鉱山開発」を促進し、不当な低価格競争や非市場的な輸出規制に対抗します。
2. RISE+(ライズ・プラス)
RISEパートナーシップの実効性をさらに高め、民間投資を直接呼び込むための具体的インフラ支援・資金調達枠組みとして拡大(創設)された制度です。
- 目的:どれだけ鉱山や精錬所を整備しても、周辺の電力・物流インフラが不十分では事業が立ち上がらないという課題を解決すること。
- 主な仕組み・支援内容:
- インフラ整備のパッケージ支援:重要鉱物の採掘・精錬に必要な「電力(再エネ等含む)」「道路・鉄道・港湾」「水資源」といった周辺インフラの整備を支援。
- 世銀グループを通じた資金調達:世界銀行グループ(IBRD/IDA等)との連携のもと、日本政府が 2,000万ドル(約30億円)のシードマネーを初動拠出 することを表明。これを呼び水として、国際開発金融機関や民間資本を大型投資へと誘引します。
- 対象地域:ザンビアやマラウイといったアフリカ地域や、アジア・中南米などの新興鉱業国を中心に具体的なプロジェクト案件の組成が進められています。
まとめ
「RISE / RISE+」は、「資源を必要とする先進国(日本・G7)」と「資源を保有する途上国(グローバルサウス)」の双方が利益を得られる構造を作ることで、政治的リスクに左右されない持続可能なサプライチェーンを構築する重要な国際構想です。
重要鉱物のサプライチェーン強化に向けた国際枠組みとして、RISE以外にどのような取り組み(鉱物安全保障パートナーシップ:MPS等)があるか詳しく教えてください。
要約
特定国(主に中国)への資源依存リスクを回避するため、日本や欧米各国は「RISE」以外にも有志国や資源国と連携した多層的な国際枠組みを構築・推進しています。その中核をなすのが、有志国が主導する「鉱物安全保障パートナーシップ(MSP)」や、資源国を加えた「MSPフォーラム」、さらには日米欧(G7)を中心とする二者間・多者間連携です。
1. 鉱物安全保障パートナーシップ(MSP: Minerals Security Partnership)
2022年に米国主導で立ち上げられた、消費国・先進国を中心とする有志国による強力な多国間協力枠組みです。
- 主な参加国・地域:日本、米国、EU(欧州委員会)、韓国、オーストラリア、カナダ、英国、フランス、ドイツ、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、インドなど。
- 主な役割・取り組み:
- プロジェクトへの協調投資:リチウム、ニッケル、コバルト、レアアースなどの「採掘・分離・精錬・リサイクル」に関する有望な具体プロジェクトを選定し、公的金融機関(日本のJOGMECやJBIC、米国のDFCなど)が連携して融資や出資を実施。
- 高水準なESG基準の推進:環境破壊や不当な労働環境に依存しない「責任ある採掘・精錬基準」をグローバル標準とし、非市場的で不透明な供給源との差別化を図る。
2. MSPフォーラム(MSP Forum)
MSPをさらに拡大し、「消費国(先進国)」と「資源産出国(途上国・新興国)」をダイレクトにつなぐ広域プラットフォームとして2024年に発足した枠組みです。
- 背景と目的:先進国だけで囲い込みを行うと資源国の反発を招くため、アジア・アフリカ・南米などの資源保有国を対等なメンバーとして巻き込み、プロジェクト推進や技術協力を議論する場を設定。
- 特徴:情報共有や政策対話を通じて、資源国での「現地加工・付加価値向上」と消費国の「安定調達」を両立させる交渉の場となっています。
3. 日米欧(G7)および二者間・三者間の安全保障連携
多角的なパートナーシップに加え、実効性の高い二者間・三者間の枠組みを通じてサプライチェーンの具体化が進められています。
- 日米欧(日米EU)重要鉱物協力:ワシントン等で開催される重要鉱物閣僚会合などを通じ、緊急時の融通体制や不当な輸出制限への共同対処策を策定。
- 日米関与・Pax Silica等の戦略枠組み:サプライチェーンの多様化を加速させるため、民間投資の誘発や精錬・加工技術の共同開発を主導。
- 二者間覚書(MoU)の推進:日本はオーストラリア、カナダといった資源国や、アフリカ・南米の個別政府と直接的な経済安全保障協定・覚書を次々と締結し、鉱山開発権益の確保を図っています。
4. その他の地域的取り組み(EUのCRMAなど)
- EU「重要原材料法(CRMA: Critical Raw Materials Act)」:EU域内での調達・精錬率を引き上げると同時に、特定の単一国への依存度を「特定鉱物の消費量の65%未満」に抑える規制枠組み。日本などの同志国とも調達網の連携を模索しています。
まとめ(各種枠組みの位置づけ比較)
| 枠組み | 主な主体 | 目的・アプローチ |
| RISE / RISE+ | 日本・世界銀行主導 | 開発途上国(資源国)のインフラ整備と経済自立を支援し、調達網を分散化 |
| MSP | 米国・日本・欧州等(先進消費国) | 各国の公的金融機関が協調し、個別プロジェクト(鉱山・精錬)へ直接投資 |
| MSPフォーラム | 先進国 + アジア・アフリカ・南米等の資源国 | 消費国と資源国が対等に対話し、ESG基準や現地加工の促進を協議 |
| 二者間・G7連携 | 日本、米国、EU、豪州など | 輸出制限や有事リスクに対する政策調整・共同対応 |
鉱物安全保障パートナーシップ(MSP)が共同支援・投資の対象としている具体的なプロジェクトや重要鉱物の種類について詳しく教えてください。
要約
鉱物安全保障パートナーシップ(MSP)は、脱炭素技術(EV、風力発電)や防衛・半導体産業に不可欠な主要10種以上の重要鉱物を対象としており、世界全体で30件超のプロジェクトに対して資金調達支援や技術協力、投資出資の調整を行っています。
1. MSPが対象とする主な重要鉱物
エネルギー転換やハイテク産業の基盤となる以下の鉱物・金属が主な対象です。
- バッテリー・EV分野:リチウム、コバルト、ニッケル、黒鉛(グラファイト)、マンガン
- 永久磁石・防衛・先端技術:レアアース(希土類元素:ネオジム、ジスプロシウム等)
- 半導体・エレクトロニクス・電力網:銅、ゲルマニウム、ガリウム
2. 対象プロジェクトの事業領域と地域分布
採掘だけでなく、特定国が圧倒的シェアを握る「中流加工・精錬」や「リサイクル」領域への重点的な支援が行われています。
- 事業領域(バリューチェーン全体):
- 上流(Upstream):鉱山開発・採掘・探査
- 中流(Midstream):高純度精錬・加工(バッテリーグレード素材、高純度金属等)
- 循環(Recycling):使用済み製品からの再回収・再資源化
- 地域分布:アフリカ(ザンビア、タンザニア、DRコンゴ等)をはじめ、米州(カナダ、米国)、アジア太平洋(オーストラリア等)、欧州を含む世界各地の数十拠点で展開。
3. 具体的な代表支援プロジェクト例
- コボルド・メタルズ社(KoBold Metals)ミンゴンバ銅鉱山開発(ザンビア)
- 概要:AI技術を活用して発見された世界最大級の銅鉱床開発プロジェクト。
- 支援内容:米国の出資支援などを背景に、20億ドル以上の大規模投資が決定。ザンビアの銅生産力の大幅増強と世界的な銅供給網の多角化に寄与。
- エレクトラ社(Electra Battery Materials)コバルト精錬所(カナダ)
- 概要:北米初となるEVバッテリー用硫酸コバルト精錬施設(オンタリオ州)。
- 支援内容:米国国防総省(DPAI)やカナダ天然資源省からの資金拠出を受け、DRコンゴ産の原材料を北米内で精錬加工・リサイクルする体制を構築。
- ポスコグループ(POSCO)&ブラックロック・マイニング マヘンゲ黒鉛プロジェクト(タンザニア)
- 概要:EV負極材に使われる天然黒鉛の採掘・供給網の確立。
- 支援内容:POSCOグループがタンザニアの黒鉛鉱山に約4,000万ドルを出資・株式取得を行い、長期的な調達権益(年間3万〜6万トン)を確保。
- オーストラリアン・ストラテジック・マテリアルズ社(ASM)ダボ(Dubbo)プロジェクト(オーストラリア)
- 概要:ニューサウスウェールズ州におけるレアアース(希土類)および重要鉱物の採掘・製錬プロジェクト。
- 支援内容:米国輸出入銀行(EXIM)が最大6億ドルの融資意向(LOI)を発行するなど、脱中国依存の磁石原料・レアアース供給網として後押し。
まとめ
MSPの支援は、単なる資金提供にとどまらず、参加国の輸出入銀行(EXIM)や開発金融機関(日本のJOGMEC・JBIC、米国のDFC等)が協調してリスクを低減(デリスク)させ、民間資本を誘発する強力な枠組みとなっています。

