Episode-002:なぜ「30年以内60〜90%」という数字が出るのか[南海トラフ地震の予測]
いい質問です。
この 「30年以内に60〜90%」 という数字、予言でも勘でもなく、かなり事務的な計算の産物です。中身を分解します。
結論から言うと
この確率は👇
「過去の発生間隔 × 統計モデル × 現在が周期のどこにいるか」
を機械的に突っ込んで出した数字です。
未来を見ているわけではありません。
① 材料は「過去の履歴」だけ
南海トラフは、歴史資料が世界トップクラスに揃っています。
- 宝永地震(1707)
- 安政地震(1854)
- 昭和東南海・南海地震(1944–46)
→ おおむね100〜150年周期
→ 前回からすでに約80年経過
ここまでは「事実データ」。
② ここで統計モデルを使う
使われる代表的なモデルは2系統あります。
● 更新過程モデル(BPTモデル)
ざっくり言うと:
「平均120年周期の地震が
もう80年起きていないなら
次の30年で起きる確率は高いよね?」
という考え方。
- 周期の“ばらつき”も考慮
- 時間が経つほど確率が上がる
👉 このモデルだと
70〜90% みたいな数字が出やすい。
● ポアソンモデル(控えめ派)
こちらはかなり冷静。
「地震はいつ起きるか分からない
過去と未来は独立」
という前提。
👉 このモデルだと
20〜40%程度 に下がる。
③ なぜ「60〜90%」と幅があるのか
理由は3つあります。
- どのモデルを採用するか
- 平均周期を100年に置くか150年に置くか
- 「巨大地震」をどこまで含めるか
つまり、
条件をどう置くかで
出る数字がガラッと変わる
だから政府や専門機関は
「一点の数字」ではなく「幅」で出すんです。
④ 重要な勘違いポイント
ここ、超大事です👇
❌ 30年以内60%
=「30年後に起きる」
⭕ 30年以内60%
=「今日から30年間という箱の中で
いつか起きる確率」
しかもこれは
- 明日かもしれない
- 20年後かもしれない
- 30年過ぎても起きないかもしれない
という 不確実性込みの数字。
⑤ なぜ政府は「高めの数字」を採用するのか
これは科学+行政判断。
- 低く出して外れる → 被害甚大
- 高めに出して外れる → 備えが残る
👉 防災は「外れても損しない側」に倒す
だから
「60〜90%」という高めレンジが公式に使われる。
まとめ(超短縮)
- 見ているのは 未来ではなく過去
- 周期+統計モデルで計算
- モデル次第で数字は大きく変わる
- 防災目的なので高めに出す
- だから「確実」でも「予言」でもない
もし次に行くなら、
- なぜ直前予知だけが不可能なのか
- 「臨時情報(巨大地震注意)」は何を根拠に出るのか
- 本当に危険なのは「確率」より何か
このへん、かなり核心に踏み込めます。
