Episode-003:グリホサート[グリホサートと発がん性]
確認日時:2026年4月29日(水)
グリホサート(Glyphosate)総合解説
信頼度:80%(複数の規制機関・研究機関の公式見解を多角的に検証。ただし科学的論争が継続中のため完全な確度は持てない)
① 基本情報
グリホサートは、広く使われている非選択性除草剤の有効成分です。「ラウンドアップ」(バイエル社)として知られる製品の主成分であり、1980年(昭和55年)に日本で除草剤として農薬登録されており、40年以上にわたって農業・家庭用に使用されています。
② 安全性をめぐる主要機関の見解
各機関の評価は以下のように分かれます(出典:バイテク情報普及会):
- FAO/WHO合同残留農薬専門家会議(JMPR)(2016年5月):食事からのグリホサート暴露による発がん性リスクは低いと結論
- 日本食品安全委員会(2016年3月):神経毒性、発がん性、繁殖への影響、催奇形性、遺伝毒性は認められなかった
- 米国環境保護庁(EPA)(2020年1月):現行ラベルの指示に従った使用ではヒトの健康リスクなし、発がん性なし
- 欧州食品安全機関(EFSA)(2015年11月):ヒトへの発がん性の可能性は低く、EU規則下でのがん性物質分類の科学的根拠はなし
③ IARCの「発がん性2A」分類との食い違い
IARCは2015年、グリホサートを「グループ2A(ヒトに対しておそらく発がん性がある)」に分類しました。しかし、これは暴露量を考慮したリスク評価ではなく、ハザード(有害性の可能性)の評価にとどまります。美容師・夜間シフト労働・赤肉・65℃以上の熱い飲み物なども同じグループ2Aに分類されています。
食品安全委員会やJMPRは「リスク評価」(暴露量を考慮した確率・強さの評価)を行うのに対し、IARCは「ハザード評価」のみを目的とするため、評価の視点が根本的に異なります。
さらに、IARCの評価委員長自身が、グリホサートに発がん性がないことを示す米国農民の調査結果を知りながら無視した可能性をロイター通信(2017年)が報じており、評価の科学的中立性に疑問が呈されています。
④ 懸念・批判的見解(反対側の立場)
一方で、グリホサートはシキミ酸経路(植物のアミノ酸合成経路)を阻害する仕組みで除草効果を発揮しますが、腸内細菌もこの経路を持つため、グリホサートが腸内細菌に影響し、アレルギーや自己免疫疾患の原因となる可能性を指摘する研究もあります。また、2015年の調査では採取された尿の93%からグリホサートが検出されたとされています。
米国カリフォルニア州では、学校用務員が繰り返しラウンドアップを散布してがんを発症したとして訴訟を起こし、一審でモンサント社(現バイエル)に約320億円の支払いを命じる判決が出ており、同様の訴訟が米国で数万件に及んでいます。
⑤ 日本・世界の規制状況
グリホサートは現在も150カ国以上で農薬として承認されており、一部の国や地域での規制は農業用以外(公共の場での景観維持目的など)に限られる場合がほとんどです。
日本の市場については、2025年の日本のグリホサート除草剤市場規模は約6億米ドルで、2034年までに約9.6億米ドルへ成長が予測されています。一方で、日本政府の「みどりの食料システム戦略」として2050年までに化学農薬を50%削減する目標が掲げられています。
まとめ・注意点
| 機関 | 評価 |
|---|---|
| IARC(WHO外部機関) | グループ2A「おそらく発がん性あり」(ハザード評価) |
| JMPR・EPA・EFSA・日本食品安全委員会 | 通常の使用では発がん性リスクなし(リスク評価) |
⚠️ 注意:上記の安全性情報の多くは製品メーカー系サイト(roundupjp.com)が出典であるため、情報源のバイアスを考慮した上で読む必要があります。IARCの懸念や腸内細菌への影響など、科学的論争は現在も継続中です。
