Episode-001:なぜ植物油は20世紀に急増したのか(巨大産業の歴史)[植物性油の評価]
植物油が20世紀に爆発的に増えた理由は、
単なる健康ブームではなく 産業・戦争・マーケティングが重なった結果です。
流れを歴史で見ると分かりやすいです。
① もともと人類はほとんど植物油を食べていなかった
19世紀まで主な油は次のようなものです。
- バター
- ラード
- 牛脂
- オリーブオイル
つまり
動物脂肪が中心
理由
- 家畜から自然に取れる
- 保存性が高い
- 調理に向いている
② 実は植物油は「産業廃棄物」から始まった
19世紀後半、アメリカでは
綿花産業が巨大化しました。
綿花から出る副産物
綿実(コットンシード)
これは
- 家畜も食べない
- 毒性あり
- 廃棄物
でした。
しかし企業が考えます。
「油が取れるのでは?」
③ ここで巨大企業が登場
その企業が
Procter & Gamble
です。
彼らは
綿実から油を取り出し
水素添加して固形化しました。
これが
Crisco
(1911年)
世界初の工業ショートニングです。
④ ここからマーケティング革命
Criscoは
史上初の“食品マーケティング戦略”
を行います。
戦略
- 医師を使った広告
- レシピ本配布
- 主婦向け宣伝
キャッチコピー
「動物脂肪より健康的」
実は
科学的根拠はほぼありませんでした。
⑤ 第二次世界大戦でさらに拡大
大きな転機は
World War II
です。
戦争で
- バター不足
- ラード不足
- 食料配給
その代替として
植物油・マーガリン
が急増しました。
例
- マーガリン
- ショートニング
⑥ 1960年代:コレステロール恐怖
次の転換点は
脂肪=心臓病説
この中心人物が
Ancel Keys
です。
彼の研究で
「動物脂肪 → 心臓病」
という説が広まりました。
その結果
バター → 植物油へ
世界的に切り替えが起きます。
⑦ こうして巨大産業になった
現在の植物油市場
年間 約2億トン
主力
- 大豆油
- パーム油
- 菜種油
世界最大企業
- Cargill
- Archer Daniels Midland
- Bunge Limited
これは
穀物メジャー産業
と呼ばれます。
⑧ さらに衝撃の事実
実は現在のアメリカ人は
1900年 → 約2kg/年
現在 → 30kg以上/年
植物油摂取量
約15倍
になっています。
まとめ
植物油急増の理由
- 綿花産業の副産物
- 食品企業のマーケティング
- 第二次世界大戦
- コレステロール恐怖
- 穀物メジャーの巨大化
つまり
「健康ブーム」ではなく
産業革命の結果
です。
もしよければ次に、かなり面白い話があります。
「なぜ世界で一番消費されている油はパーム油なのか(知られざる巨大市場)」
これは食料・森林・政治まで関わる話です。
