Episode-001:日本はヘゲモニーを持ったことがあるのか?[ヘゲモニーの概念]
結論から言うと――
日本が“世界ヘゲモニー国家”になったことはありません。
ただし、
地域的・経済的ヘゲモニーに近い状態は歴史上2回ありました。
構造的に整理します。
① 軍事的拡張期(1930〜1945年)
当時の日本は
東アジアで圧倒的軍事力を持ちました。
- 朝鮮半島
- 満州
- 中国沿岸部
- 東南アジア
大東亜共栄圏構想の下、地域秩序を作ろうとしました。
しかし:
- 海軍力で
→ アメリカ合衆国 に劣る - 工業生産力で圧倒的不利
- 通貨・金融支配力なし
- 同盟基盤が弱い
つまり
軍事的拡張はしたが、ヘゲモニーの条件(通貨・制度・同意)を満たさなかった。
これは覇権挑戦であって、ヘゲモニー確立ではありません。
② 経済的頂点(1985〜1995年頃)
1980年代後半、日本は:
- 世界第2位のGDP
- 半導体シェア世界トップ
- 自動車・家電支配
- 世界最大の債権国
「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われました。
しかし:
- 基軸通貨はドル
- IMF・世界銀行を主導できない
- 軍事的自立なし
- 安全保障は米依存
その象徴的転換点が
プラザ合意。
円高誘導を受け入れざるを得なかった時点で、
ルールを作る側ではなく、従う側でした。
③ なぜ日本はヘゲモニーを持てなかったか?
ヘゲモニーの条件を並べると:
- 軍事的投射能力
- 基軸通貨
- ルール設計能力
- 同盟ネットワーク
- 価値観の普遍化
日本は:
- 経済力は持った
- 技術力も持った
- しかし軍事・通貨・制度設計を持たなかった
つまり
「経済大国」にはなったが「秩序設計国」にはならなかった。
④ 例外的に“限定ヘゲモニー”だった分野
◉ アジア製造業ネットワーク
日本企業がアジアのサプライチェーンを設計
◉ 技術標準
- VHS規格
- トヨタ生産方式
ここでは一定の標準化主導を行いました。
ただし世界秩序レベルではない。
⑤ 現在の日本は?
現在の日本は:
- 軍事 → 米依存
- 経済 → 米中両依存
- 通貨 → 円は補助通貨
- 技術 → 重要部品で強いが最終支配は弱い
つまり
“ヘゲモニー国家”ではなく、“秩序内中核国家”。
⑥ 可能性はあるか?
世界ヘゲモニーは現実的ではありません。
しかし:
- 技術標準
- 脱炭素技術
- 半導体装置
- 次世代素材
などでニッチ・ヘゲモニーを取る余地はあります。
もしさらに踏み込むなら:
- なぜ日本は通貨覇権を狙わなかったのか?
- 戦後、日本は意図的にヘゲモニーを放棄したのか?
- 2035年、日本が取れる現実的な戦略は?
どこまで深掘りますか?

