Episode-001:水圧破砕がEUで嫌われる理由[水圧破砕法]

いいテーマ来たね。
水圧破砕(フラッキング)がEUで嫌われる理由は、感情論じゃなくて、EUという政治・社会システムとの相性が最悪だから。

結論からいくよ。


結論一文

EUは「環境・合意・長期安定」を軸に回る共同体で、水圧破砕は「短期・強引・局地リスク型」技術だから。

以下、レイヤー別に分解する。


① 環境規制が“世界一きつい”

EUは世界で最も厳しい環境原則を持つ。

代表例

  • 予防原則(Precautionary Principle)
    • 「安全が完全に証明されない技術は使わない」
  • 地下水保護は国家主権レベルの聖域
  • 化学物質は REACH規制でガチガチ

📌 フラッキングは

  • 化学物質の完全開示が困難
  • 地下水汚染リスクがゼロ証明できない

この時点でEU法哲学と衝突


② 人口密度が高すぎる

アメリカと決定的に違う点。

地域人口密度
米国約36人/km²
EU平均約109人/km²
ドイツ約230人/km²

📌 フラッキングは

  • 騒音
  • 振動
  • トラック交通
  • 地盤沈下・微小地震

👉 「誰にも迷惑をかけない場所」が存在しない


③ 地震・地盤リスクに過敏

EUは地震が少ない分、地震への許容度が極端に低い

  • 英国:ブラックプールで微小地震 → 即停止
  • オランダ:ガス田由来の地震で国家訴訟レベル

📌 EU世論:

「地震が“起きうる”技術はアウト」


④ 農業・ワイン文化との衝突

これは日本人が見落としがち。

  • フランス・イタリア・スペイン
  • 地下水=農業とワインの生命線
  • 「土地の物語(テロワール)」を壊す行為

📌 フラッキングは

  • 地下水の成分変化
  • 土地ブランド価値の毀損

👉 経済合理性より文化的損失が大きい


⑤ EUは「短期エネルギーより長期秩序」

EUは国家というより価値同盟

  • 2050年カーボンニュートラル法制化
  • 若年層の環境意識が非常に高い
  • 「一時的に安い」は政治的に毒

📌 フラッキングは

  • 化石燃料依存を延命
  • 再エネ投資の邪魔

政治的に自殺行為


⑥ 「アメリカ方式」への本能的拒否

これは本音ゾーン。

  • 強引な市場原理
  • 地元分断
  • 企業主導
  • 事後対応型

EU世論では

「それ、アメリカでやってるやつでしょ?」

📌 特にフランスは
反米感情 × 環境思想が重なると即アウト。


⑦ 代替が“既にある”

EUは

  • 再生可能エネルギー
  • 原子力(仏)
  • LNG多様調達
  • 省エネ規制

👉 「そこまでして掘る必要がない」


国別まとめ

状態
フランス法律で全面禁止
ドイツ実質禁止
イギリス事実上停止
ポーランド試掘→撤退
オランダガス自体に否定的

一言で言うと

EUにとって水圧破砕は「技術」ではなく「思想的異物」

効率は理解している。
だが共同体が壊れる技術は使わない


この流れ、次は

  • EUがロシアガスに依存した“本当の理由”
  • EUはなぜ原発には妥協するのか
  • EUの環境思想は理想か、現実逃避か

どれ行く?

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