Episode-003:なぜ国内製造になったのか[国内製造の現状]
とても本質的な問いです。
「なぜ“国産”ではなく“国内製造”という表示が広がったのか?」を、制度・経済・国際関係の3層で整理します。
■ 結論(短く)
原料の輸入依存が高まり、「国産」だけでは現実に合わなくなったから。
① 日本の構造問題:原料は足りない
日本は主要原料の多くを輸入しています。
- 小麦 → 約8〜9割輸入
- 大豆 → 約9割輸入
- 飼料穀物 → ほぼ輸入
つまり
“全部国産”で作れる食品の方が少ない。
高度経済成長期以降、
国内製造=国内加工モデルが主流になりました。
② WTO・自由貿易との整合
1990年代以降、
WTO
体制で貿易自由化が進みました。
「国産優遇」の強調は
国際ルール上、問題視されやすい。
そのため
- 原料差別を避ける
- 加工地ベースの表示に寄せる
流れが強まった。
③ 食品表示制度の整理
食品表示を管轄する
消費者庁
は2015年に食品表示法を施行。
ここで整理されたのは
- 原料原産地表示
- 製造所固有記号
- 国内製造表示
つまり
原料と加工を分けて表示する制度設計
になった。
④ 企業側の事情
もし「国産」しか認めない表示体系だと…
- 原料価格高騰で商品が作れない
- 価格競争に負ける
- 安定供給ができない
国内製造という枠は
👉 輸入原料を使いながら
👉 日本品質で加工できる
企業にとって“現実的”な落とし所でした。
⑤ 消費者心理との折衷
消費者は
- 日本製=安心
- 国産=安全
という感覚を持つ。
そこで
「国内製造」という言葉が
安心感と現実の妥協点になった。
■ もし国産限定にしたら?
- 食品価格は大幅上昇
- 品目数減少
- 畜産崩壊リスク
だから制度は
“国内加工主義”に落ち着いた。
■ 2030年代の分岐
今後は
- 輸入依存継続 → 国内製造主流
- 食料安全保障重視 → 国産回帰強化
円安や有事が長引けば
後者に振れる可能性もあります。
さらに深掘りしますか?
- 「国内製造」は消費者を誤解させる制度か?
- 食料安全保障から見た欠陥
- 国産比率を本気で上げると何が起きる?
