Episode-004:天岩戸について[GHQによる戦後日本改革]
「天岩戸(あまのいわと)」のお話は、戦後の教科書改革において最も劇的な変化を遂げたトピックの一つです。
なぜなら、戦前の日本において、この神話は単なる「物語」ではなく、**「日本の本当の歴史の始まり」**として教えられていたからです。
具体的にどのように扱われ、どう消えていったのかを解説します。
1. 戦前:歴史教科書の「第1ページ」だった
戦前の歴史教育(国史)では、天岩戸は「神話」ではなく「歴史的事実」に近い扱いで、教科書の冒頭に載っていました。
- 教えられていた内容: 太陽の神である**天照大神(あまてらすおおみかみ)**が岩戸に隠れ、世界が暗闇になったが、八百万の神々が協力して外へ引き出し、再び光が戻った……というお話です。
- 教育の目的: 天照大神は**「天皇家の祖先」**とされていたため、この物語を教えることで「日本は神の血を引く天皇が治める特別な国である(神国思想)」という意識を子どもたちに植え付けていました。
2. GHQによる「墨塗り」と削除
終戦直後、GHQはこの教育を「超国家主義的で危険だ」と判断しました。
- 真っ先に消された言葉: 教科書の中に登場する「天照大神」という名前や、「神代(かみよ)」といった言葉が墨塗りの対象になりました。
- 理由: GHQは、日本人が「自分たちは神の子孫だ」と信じていることが、あの強靭な粘り強さや戦争への熱狂を生んだと考えたため、その根源である神話を歴史から切り離そうとしたのです。
- 授業の停止: 1945年12月、歴史と地理の授業そのものが一時停止され、天岩戸を含む「神代(神様の時代)」の記述があるページは、**「すべて切り取るか、真っ黒に塗りつぶせ」**という命令が出されました。
3. 歴史から「文学・伝統」へ
その後、新しい教科書が作られる過程で、天岩戸の扱いは根本から変わりました。
- 歴史教科書からの追放: 「歴史」の教科書からは完全に姿を消しました。代わりに、考古学的な「縄文時代」や「弥生時代」から日本の歴史が始まるようになりました。
- 国語教科書への移動: 現在でもそうですが、天岩戸は歴史ではなく**「国語(古文や物語)」や「社会(伝統文化)」**の枠組みで、「日本に古くから伝わる美しい神話」として教えられるようになりました。
💡 興味深いエピソード
当時の子どもたちの中には、昨日まで「自分たちの先祖は神様だった」と真剣に教わっていたのに、ある日突然、先生から**「そのページを真っ黒に塗りなさい。あれは嘘(作り話)でした」**と言われ、大きなショックや戸惑いを感じた人が大勢いました。
まとめ
「天岩戸」が消されたのは、それが**「天皇の神格化」に直結する物語だったから**です。これによって、日本の教育は「神話に基づいた精神教育」から「客観的な事実に基づいた社会教育」へと180度転換しました。
この変化について、さらに知りたいことはありますか? たとえば、「天照大神の次に重要な『神武天皇(初代天皇)』の記述はどうなったのか」や、「当時の先生たちはどんな気持ちで教えていたのか」など、気になることがあればお伝えします。

