Episode-004:宇宙はなぜ最初に“極端に低エントロピー”だったのか[宇宙の目的とは]
宇宙論で最も深い謎の一つが
**「なぜ宇宙は最初に極端に低エントロピーだったのか」**という問題です。
まず基本から整理します。
エントロピーとは何か
エントロピーは簡単に言うと
「状態の乱雑さ(無秩序さ)」
を表す量です。
熱力学では次の法則があります。
S = k_B \ln W
ここで
- (S):エントロピー
- (W):取り得る状態の数
- (k_B):ボルツマン定数
つまり
状態の数が多いほどエントロピーは大きいという意味です。
この式を考えたのは
- ルートヴィッヒ・ボルツマン
です。
宇宙の奇妙な事実
現在の宇宙では
エントロピーは常に増え続けています。
これは
- 熱力学第二法則
として知られています。
しかし問題はここです。
宇宙の始まり
- ビッグバン
の直後の宇宙は
極端に秩序だった状態(低エントロピー)
でした。
つまり
宇宙の最初
超低エントロピー
↓ 時間
現在
高エントロピー
普通なら最初から
**乱雑な状態(高エントロピー)**の方が圧倒的に起こりやすいのです。
どれくらい異常なのか
物理学者
- ロジャー・ペンローズ
はこの確率を計算しました。
彼によると
宇宙があの状態で始まる確率は
1 / 10^(10^123)
という
ほぼゼロに近い数字です。
なぜ低エントロピーだったのか(主な仮説)
① 初期条件説
宇宙は最初からそのように始まっただけ
という考えです。
つまり
理由はまだ分かっていない
という立場です。
② インフレーション宇宙論
宇宙誕生直後に
急激な膨張が起きたという理論です。
- 宇宙インフレーション
この膨張によって
宇宙が均一になった可能性があります。
③ 多宇宙(マルチバース)
宇宙が無数に存在するなら
たまたま
低エントロピー宇宙に私たちがいる
という説明です。
④ 時間がそこで始まった
もし時間そのものが
ビッグバンで始まったなら
「その前」という概念が存在しません。
つまり
低エントロピーから始まるしかない
という考えです。
実はここが重要
低エントロピーの初期宇宙があったからこそ
- 時間の流れ
- 星の誕生
- 生命の進化
が可能になりました。
つまり
時間の矢(時間が未来へ進む理由)
はここから生まれています。
さらに面白い議論
一部の研究者は
宇宙が低エントロピーから始まった理由は
「情報構造」だからではないか
と考えています。
つまり
- 宇宙=情報システム
- 低エントロピー=初期化状態
という考えです。
もし興味があればですが、
宇宙論にはもう一つ非常に不思議な問題があります。
「なぜ宇宙の物理定数は生命が存在できる値になっているのか」
これは
宇宙最大の偶然問題とも言われています。
