Episode-006:国産率義務化は可能か?[国内製造の現状]
結論から言うと――
法的には可能。ただし、全面義務化はハードルが高く、段階的導入が現実的。
制度面・国際ルール・経済影響の3層で整理します。
① 法的にできるのか?
食品表示は
消費者庁
所管の食品表示法で規定されています。
法律改正で
「主要原材料の国産率(%)表示」を義務化すること自体は可能。
過去にも表示強化は段階的に行われてきました。
② 最大の壁:国際ルール
日本は
WTO
加盟国。
WTOのTBT協定(貿易の技術的障害)では
- 差別的制度
- 事実上の輸入抑制措置
と見なされる制度は問題になり得る。
ただし重要ポイントは:
表示義務そのものは違反ではない
ただし「輸入品を不利にする設計」だと争点になる
つまり
- 国産も輸入も同じ基準で表示
- 禁止ではなく情報提供
なら、設計次第で可能。
③ 実務上の難しさ
ここが一番大きい。
■ 原料が混合の場合
例:
- 小麦(米国60%、カナダ30%、国産10%)
- 時期で比率変動
毎ロットで%表示はかなりの管理負担。
■ 加工食品の複雑さ
冷凍食品・総菜・調味料は
- 原料点数が多い
- 比率が常に変動
中小企業には重い。
④ 経済インパクト
もし義務化すれば:
- 管理コスト増
- 価格上昇
- 商品点数削減
- 原料国産シフト圧力
一方で
- 消費者の透明性向上
- 国産志向ブランドの強化
という効果もある。
⑤ 現実的シナリオ
全面義務化は急進的すぎる。
可能性があるのは:
- 主要原材料のみ%表示
- 一定規模以上の企業から導入
- デジタル表示(QRで詳細開示)
- 「国産率◯%以上」の認証制度
段階導入型が現実路線。
⑥ 2030年代の分岐
● 平時継続
→ 現行制度維持
● 有事・食料危機
→ 国産率表示強化の政治圧力上昇
特に円安固定や地政学リスク次第。
■ 結論
国産率義務化は
- 技術的には可能
- 国際法的にも設計次第で可能
- しかし経済コストが高い
だから今は導入されていない。
さらに踏み込みますか?
- 義務化したら価格は何%上がる?
- 農業は本当に救われるか?
- 表示より補助金の方が合理的?
