Episode-003:今の経産省は本当に変わったのか?[日本の半導体技術]
結論から言います。
経産省は「言語と制度」は変わったが、「本能」はまだ変わり切っていない。
つまり
👉 半分は本気、半分は過去の延長
これが冷静な評価です。
① 何が「変わった」のか(事実ベース)
1️⃣ 半導体を正式に「国家安全保障」と明言
- 経済安全保障推進法(2022)
- 特定重要物資に半導体を指定
- 補助金を「産業振興」ではなく「安保枠」で処理
👉 1990年代との最大の違い
2️⃣ 国が前面に出て金を出している
- TSMC熊本:1兆円超補助
- Rapidus:数兆円規模想定
- 材料・装置にも補助金
👉
「市場任せ」「民間任せ」は明確に終わった
3️⃣ 米国と“従属”ではなく“分業”を選んだ
- 技術はIBM
- 装置・材料は日本
- 米国は顧客+安保パートナー
👉
少なくとも90年代型の一方的譲歩ではない
② それでも「変わっていない」危険な部分
⚠️ 1️⃣ 本質的リスク回避体質
- 「失敗責任」を極端に恐れる
- 成功より「前例」を重視
- 官僚人生を賭ける決断はしない
👉 Rapidus最大のリスクは技術ではなく官僚判断
⚠️ 2️⃣ 数字主義・形式主義は健在
- KPI
- 進捗報告
- 横並び評価
👉
半導体は
失敗前提・試行錯誤前提の産業
→ 行政と相性が悪い
⚠️ 3️⃣ 「米国の顔色」は依然として最優先
- 対中規制は即同調
- 独自判断は極めて限定的
👉
今回は「共闘」だが
主導権を持っているわけではない
③ 決定的な違い:1990年代との比較
| 観点 | 1990年代 | 現在 |
|---|---|---|
| 半導体認識 | 家電部品 | 国家安保 |
| 国の関与 | 口出しのみ | 資金+制度 |
| 米国対応 | 回避・譲歩 | 協調・取引 |
| 覚悟 | なし | 条件付き |
👉
「負けない努力」はしている
「勝つ覚悟」はまだ弱い
④ 経産省内部の本音(構造的)
- 「成功すれば政治の手柄」
- 「失敗すれば官僚の責任」
- 「だから失敗しない設計にしたい」
👉
しかし半導体で
失敗しない設計=何もしないに近い
⑤ では本当に変わる条件は何か
3つ揃わないと無理
- 明確な国家用途(防衛・AI・インフラ)
- 10年以上の資金コミット
- 失敗を許容する政治的後ろ盾
👉 官僚だけでは無理
👉 政治主導が不可欠
⑥ 一文で言うと
経産省は「分かってはいる」
だが「賭けるところまでは行っていない」
⑦ 最重要:これは半導体だけの話ではない
同じ構図が
- エネルギー
- 食料
- データ
- 医薬品
でも起きている
次の一手としては非常に重要です。
- 「Rapidusは成功する前提で作られているか?」
- 「失敗した場合、日本は何を失うのか?」
- 「次に経産省が守れない産業はどこか?」
どこをさらに切り込みますか。
